僕が御嶽に登ってから、1年と一週間。
自分が友達を誘って登った1週間後にあの噴火映像を見たときには、ほんとに驚いた。
噴火1週間前の同じ時刻、僕は噴火口の近くでごはんを食べてた。その場所が地獄のような光景になってる。
何気なく決めた登山のスケジュール。
1週間ずれてたら、自分は死んでた。
被害者の人に対して、他人事じゃなくてほんとに胸が痛かった。
一緒に行った友達が死んで、自分だけが生還する夢も見たし、自分が1人で噴石で死ぬ夢も見た。
ショックでしばらく山には登れなくなった。
昨日噴火から1年を機に御嶽山噴火を特集したドキュメント番組があったので、たくさん見た。
けど、どれも本質から外れているような気がしてしょうがなかった。
ある番組では遺族の方が「なぜ10分前に察知しておきながら、山頂に放送しなかったんだ」と声を荒げていた。
「安全対策を強化して欲しい」と。
しかし、安全対策って何なの?
「噴火する可能性があります。」って放送を山頂で聞いたところで登山者は何をしたらいい?
山小屋に駆け込めばいい?
下山すればいい?
10分後に噴火したって事実があるから、多くの人が山小屋に避難していれば。って考えるけど、いつ噴火するかわからない状態で、山小屋にいる人は下山すべきか留まるべきか判断できるわけもない。
下山の判断をしたら、数十分は遮るものが何もない場所を通らないといけない。
火口付近に避難できるような山小屋は数カ所しかない。
山小屋の屋根を特殊繊維で強化してはどうかという意見もあった。
山小屋にいた人で大きな被害を受けた人は少ない。
シェルター設置も山小屋の屋根の強化も費用の割に救える命は限られてる。
今回の噴火では設置されてたとしても被害者が10人減ればいいほうだろう。
今回の犠牲者の多さで、火山に対する国や自治体の火山防災に対する意識を変えてくれることで、今後助かる人が現れれば、犠牲者の人も報われるんだろうなって思う。
それに登山者バッシングにはならなくてよかった。
登山をしている人からすると、登山の死者がニュースになるたびに、敢えて危険なところへ行って危険な目にあった人に「自己責任だろ」って言われるのがほんとに怖い。
もちろん自己責任だとは思ってるから、山岳保険には入ってるし、僕は山で死んでも後悔はないけどね!