海よりもまだ深く見てきました
今のところ今年一番の映画です。
海街diaryと同じ是枝裕和監督ですが、今作の方が映画の中身がとてもいいと思います。
海街diaryも印象に残る画がたくさんあって、美しい映画だと思いましたが。
今回は結構心にグサグサきました。
阿部寛演じる主人公は真木よう子と離婚したバツイチのダメ中年です。小説の賞を過去にとったもののその後の活躍がないまま、冴えない日々を送るおっさんの日常を描いた物語です。
こうゆう日常系ドラマ好きです。
映画の最後に大事件なんて、なくていい。主人公の心の動きさえあれば。
ネタバレはしませんが、1個だけネタバレしちゃいます。
「何かを諦めないと幸せにはなれないのかもね」という主人公の母親役の樹木希林の言葉です。
いろいろ考えさせられました。
主人公の追いかける小説家として成功する夢が一番大きいのでしょうが、それ以外にも当てはまることがたくさんありました。
「夢」「目標」というのは素晴らしい言葉です。
前に進むエネルギーにもなります。
でも現実の自分から目を背ける要素にもなってしまう。
それが自分に合ってる目標なのかを見極めないまま、夢に進むとかなえられないままギャップが大きくなる。
若くて綺麗で賢い奥さんが欲しい。
と思っていても、それが20代のうちに叶えられなければ、30代、40代になって叶えられるのだろうか。
どんどん夢からは遠ざかるばかり。
でも、一度見た夢は変更できず、追いかけてしまう。
「妥協」なんてしたくないと言い聞かせて。
上を見ることは正しいことで、下を見たり諦めたりすることはネガティブだと判断してしまう。
でも、高すぎる上ばかり見ることも、決してポジティブではないと思った。
過去に設定した目標が少しでも今の自分から遠ざかってると思ったら、まず自分の目標に対する姿勢を変えること。
そうすれば追いつけるかもしれない。
でも、それでも目標が近づかないなら、近づけた目標を再設定するしかない。
そうじゃないと自分が目標が近づかないことに慣れてしまう。
それは妥協だけど、悪いことじゃない。悪いのは過去に目標を設定した自分と、自分の努力が足りなかったこと。
自分の限界に合わせて目標を修正することは悪いことじゃない。
自分は目標に向かってコツコツ努力していることに満足してしまうことこそ怖い。
「いつか〇〇してやろう」「いつかでっかいことしてやろう」って危険ですよね。
他にも印象に残る言葉はたくさんありました。
時々笑いもあり、いい映画だと思いました。
一見地味な印象の映画ですが、若い人にもおすすめです。