2014年9月 Apple Watchの発表会でデジタルクラウンについて発表された時、従来の携帯電話時代にソニー製品に搭載されていて、一世を風靡していたジョグダイヤルを思い出した人は、僕以外にも少ないないと思います。
確かに画面の小さいスマートウォッチで、単純なスクロール、クリックでは正確に行うことが可能なデジタルクラウンというインターフェイスの採用に「なるほど」と思わせられました。
小さい画面のタッチはスマートフォンよりもタッチの正確さが求められるでしょうから。
しかし、現在ソニーから発売されているスマートウォッチにはジョグダイヤル的なものはついていません。
従来のソニーのCM クルクルピッピで話題になっていたジョグダイヤル。
主に電話を選んでかけるだけの単純な携帯電話時代がピークだったように思います。
1方向のスクロールは強いのですが、Webを見るようになってきたFOMA時代の携帯電話ではスクロールは別ボタンで行う必要があり、不便さもありました。
しかし、ソニーは頑なに採用し続けていたと思います。
「これが自社の技術だ」
と言わんばかりに。
ソニーは携帯電話のシェアも落として、2000年代半ば、NECやPanasonicの時代を迎えていました。
ものづくりにおいて、技術力があるというのは
「自社の伝統的技術を使い続けること?」
それとも
「その時代に合わせた最適なデバイスを常に考え続けることでしょうか?」
日本企業にありがちなのが前者の自社の伝統的技術を使い続ける。
そして、使えなくなった時代が来たとようやく気付いて、捨てる。
再び使える時代が来たとしても、現在は使わない伝統が来ているため、使おうとはしません。
常に何が最適かを考えることはないです。
求められる技術のベクトルが一つに向いてる時の日本企業の技術力の高さは確かにすごいです。ある程度形になった製品で、品質の向上、小型化、多機能化については日本企業が技術力があるでしょう。
しかしトレンドが目まぐるしく変わる中での、ベストアンサーを考える能力は極めて低い気がします。
スマートウォッチにデジタルクラウンを使うことが何も正解だと決まったわけではないです。
しかし、Appleの柔軟性と、ソニーの小回りの利かなさについて考えずはいられませんでした。