僕はワンルームのアパートに一人暮らしをしている。
上の階の住人が去年の終わりから変わったことに気づいた。
前の住人の顔も知らないが、半年前まではとても静かだった。生活感がないくらいに静かだった。
しかし、半年前からの住人は、足音がドタドタしている上に、床によく物を落とす音がする。
しかしまあ悪意のある音ではない。
お互い様だし我慢しないとなあ、と思ってた。
しかし、少し状況が変わる。
ある日足音の数が増えていることに気づいた。
子供の話し声と赤ちゃんの泣き声と子供を注意する母親の声が増えた。
どうやら奥さんと息子3-4歳と赤ちゃんを連れ込んでいるようだ。
父親のようにドタドタする音はしないときは、子供が馳け廻る足音が響く。
23時を過ぎてもドタドタする音がすることがある。
なんとも言えないイライラがらだんだん積み重なってきた。
子供が何かから飛び降りた時のドスンという音。
飛び降りた時には音と振動があり、寝ていても起きてしまう程の音だ。
そして朝にイライラしてしまい、そこから寝れなくなってしまうこともあった。
最近、テレビで保育園の建設にあたり、子供の騒音がうるさいという近所住民が反対して建設中止になったというニュースも見る。
この感情は複雑だ。
子供を持つ親にとって子供が騒音扱いされることって、何も保育園に限ったことじゃないだろう。
公共の場所でも自宅の庭でも言われるだろう。
僕も1社会人としてそのニュースを見た時には、それは「地域が理解しなければいけないだろう」って意見を持った。
しかし今当事者になると、騒音も少しは注意してよ。ってことになった。
少しだけは注意してほしい。
一軒家ではなくて、壁の薄いワンルームのアパートなのだから。
管理会社へ電話をかけた。
そしてアパートの全戸に「騒音の苦情が出ています。ご理解宜しくお願いします。」と書かれた紙を投函してもらうことになった。
そしてしばらく様子を見ることにした。
しかし、結果から言うと何の効果も見られなかった。
管理会社によると「家族でワンルームで暮らすことは規約違反ではない。」「多少は理解してあげてほしい」
とのことだった。
そんなことはわかってる。
理解しようと思って自分を落ち着かせるんだが、不意に騒音で起こされた朝、もう寝付け亡くなった時のイライラと葛藤している気持ちは当事者しかわからないんだろうな。
ある夜あまりに子供がはしゃぎ、親も一緒に遊んでいる感じであったため、イライラが募り、ついに上の階の住人へ文句を言った。
インターホンを鳴らして、下の階の部屋の者であることを告げると、旦那さんが玄関から出てきた。思ったより若くて優しそうな旦那さんだった。
「子供を育てることに理解ははしたいので、基本的に騒音は気にしないようにするが、夜遅くに飛び跳ねたり、駆け回ったりするのは子供に注意してほしい」と伝えた。
そうすると「すいません。うるさいですよね。静かにするようにします。」
とあっさりちゃんと聞いてくれた。
最悪は険悪になるかもと思ったから安心したが、自分が子供の騒音に文句を言ったことにたいしてすごく罪悪感がわいてきた。
子供をうるさいと叱ることで子供がのびのび育たなくなるんじゃないかとか。
でも自分の生活もあったし、共同の住居なんだから仕方ないと自分を納得させた。
でも早朝夜以外は子供が音を発しても騒音だと思わずに、基本的に理解したいし、理解しようよ。って思った。